自立学習の場として伝統のある「公文式」ですが、一般には小学生くらいの子どもが勉強を先取りするための場所としてのイメージが強いです。
しかしながら、本来公文式は学年を問わず、自分のレベルに合ったところから学習を始められるのがポイントで、教材も幼児レベルから高校修了レベルまで用意されています。
ただそうは言っても、実際に教室に来ている生徒の大半は小学生で、中学生や高校生になってまで公文式に通うのは恥ずかしいのではないか?という不安を持っている方も少なくないと思います。
そこで今回の記事では、公文で先生をやっていたこともある私が、主に高校生の公文式について考察してみました。
生徒は小学生くらいが多いのは事実
先ほども書いた通り、私は一時期公文式で先生(採点スタッフ)をやっていたこともあります。
その時の教室の生徒の割合としては、冒頭のイメージ通り、勉強を先取りしたい小学生が大半、幼児がチラホラ、中学生もチラホラ、高校生はゼロという状況でした。
小学校卒業と同時にごそっと退会し、中学生まで残っていた子も、中学校を卒業すれば退会していくといった感じです。
この傾向は、もちろん教室によってさまざまだとは思いますが、私が話に聞く感じでは、おおよそどの教室にも共通した傾向だと思います。
ただ、これらは決して公文式が小学生中心の教育だからというわけではなく、中高生になって通学時間が増えたり、部活が忙しくなったりするからというのが主な原因だと思います。
高校生で公文式に通うのは恥ずかしい?
以上を前提にタイトルの、
- 高校生で公文式に通うのは恥ずかしいのか?
という点についてです。
結論から言えば、公文式は高校修了まで、場合によっては大学生・社会人向けのカリキュラムも用意されており、高校生で公文式に通うのは決して恥ずかしいことではありません。
ただ、やはり教室は小学生がメインとなるため、小学生の中に混じって勉強するのが恥ずかしい、なんとなく居心地が悪い、というのはあるでしょう。
実際、私が先生をしていた教室でも、小学生の低学年くらいから続けていた女の子がいましたが、卒業と同時に周りの同学年の子が退会していき、その子は中学生になっても残っていましたが、なんとなく居心地が悪くなってやめていった(ように見える)子がいました。
もちろん、退会理由は他にもあると思いますが、そのような場合もないとは言えないでしょう。
ただ他方で、公文式自体、幼児から高校生まで色々な学年の子どもが混じって勉強しているため、誰がどの学年の生徒かとかあまり気にしていない子どもが多いようにも思います。
私がいた教室では、小学生3~4年生くらいの子と中学生の子が楽しく絡んでいる、他ではあまり見られない光景も見られました。
そのため、高校生で小学生に混じって勉強するのは、本人は少し恥ずかしいと感じる場合もあるかもしれませんが、周りは意外と気にしていないものだと私は思います。
高校生で公文式に通う・続けるメリット
高校生で勉強するとなると、やはり大学受験が視野に入ってくると思いますが、公文式は特に大学受験に特化した塾というわけではありません。
しかし、私が学習塾で中高生を見ていると、公文式にも結構メリットがあるなと感じる部分があります。
その1つ目としては、基本的な計算問題をたくさん解いて訓練できる場が、意外とないということです。
私が学習塾で見ているような成績が学年の真ん中くらいの子は、数学でせっかく答えに至る式は作れても、そもそも計算が正しくできない、できてもペースが遅いという場合が多々あります。
数学は基本的には積み上げ方式ですので、基本的な計算が不正確だったり遅いと、全く点数に結びついてこないという現状があります。
かと言って、小学生くらいの計算ワークに戻って訓練させまくるということも(塾の方針上)できず、普段やきもきしているのですが、、
その点公文式なら、自分の学力に合ったレベルから始められ、まとめのテストで合格しないと先に進めないようにもなっているので、基本的な計算力、「地力」をつけるのに有効です。
公文式は大学受験の直接的な対策をするわけではありませんが、受験勉強をする際にじわじわ効いてくる「土台」を作るという意味では有意義でしょう。
2つ目としては、主に公文式の国語が、読解力を鍛えるのに有効ということです。
昨今、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』という本でも話題になった通り、中高生の読解力の低下が深刻な問題となっています。
私が学習塾で子どもたちを見ていても、そもそも問題文の意味が正確に読み取れておらず、その結果解答が見当違いになっているケースが非常に多いです。
これは国語のみならず、数学や英語、理科の問題などでも頻繁に見られます(そもそも国語をあまり塾では扱いません)。
正直、問題文を正確に読み、何を聞かれているか把握できるだけでも、かなり点数は伸びるのはないかと思ってしまうほどです。
なぜここまで読解力が低下したのか、私は紙の本を読まず、スマホのSNSなどで流れてくる情報で、目に留まるものを適当に読み流すだけになってしまった現代生活に1つの原因があると見ています。
いずれにしても、公文式の国語であれば、大量の文章を紙で読ませられ、それも見ていると結構古典からの引用も多いので、読解力を鍛えるにはなかなか有効なのではないかと思います。
今の時代、タブレット学習などが増加してきて、紙で大量の文字を読んだり書いたりする機会は意外と減っているのではないかと思いますが、そんな時代にあって、意外と公文式が再評価される流れも一部で来るのではないかと見ています。
今回のまとめ
以上、長くなりましたが、私の結論としては、
- 直接的に大学受験の対策になるわけではないが、勉強に臨む上での「地力」「体力」を鍛えることができるので、高校生にもとても有意義
ということです。
また、「小学生の中に混じって勉強するのが恥ずかしい」という点については、意外と周りは気にしていませんし、気にしているのは案外自分だけだったりします。
仮に、「小学生と同じレベルの問題をやっているのが恥ずかしい」ということであれば、その感情はむしろ勉強への原動力となるでしょう。
新規の方でしたら、公文式は「体験」という制度もあるので、もし興味があるならぜひ教室を訪ねてみてください。
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