「願います」という表現は、至る所でよく使われています。
誰かに何かをお願いする・頼むときの表現の1つですが、この表現に違和感を感じる人も少なからず存在するようです。
私自身も、もちろん全ての場合ではありませんが、状況や立場・使っている人によっては、違和感を感じることもあります。
「なんか嫌な感じ」
「上から目線に感じる」
「命令されているみたい」
こうした声が少なからず存在する言葉・表現のようですが、その違和感の源泉とは一体何なのでしょうか?
「願います」という表現に違和感
「願います」という表現は、特に説明するまでもなく、人に何かを頼むことを意味する「願う」という動詞に、丁寧語の「ます」がついたものです。
具体的な使用例としては、
違和感を感じる理由その1
「願います」という表現は、もちろん神仏などに願をかけるという意味もありますが、上のような例では、
- 誰かに何かを頼む・要求する
という意味で使われています。
ここがおそらく違和感を感じる理由の1つで、誰かに何かを頼む・要求するにしては、
「願います」
だとちょっと素っ気なさすぎるんだと思います。
人様に何かを頼む時に、そんな簡易な表現はないだろうと。
正直、そこまで思う人がそんなに多く存在するかはわかりませんが、いずれにしても、より相手の意思や立場などを尊重した表現というものは確実に存在します。
例えば、「ご遠慮願います」であれば、
違和感を感じる理由その2
「願います」という表現は、公的な場などでよく見かけます。
看板や表示などでなんらかの注意を促し、具体的に控えてほしい行動・やめてほしい行動についても記載してある。
この「公的な場」というのがおそらくポイントで、なんらかの権威のある・権力を持っている公的な機関が「願います」を多用している結果として、
- 上から下へ、何かを要求し、順守させる
表現としてのイメージが定着してしまっているのではないかと思います。
もちろん、看板や表示などではスペースが限られているので、簡潔に注意や要求事項を伝えるために「願います」という短い表現を使っているということはあるでしょう。
看板や表示をそこまでしっかり読む人も多くありませんので、一目見て意味がわかるものでなければならないというニーズは確かに存在します。
しかし一方で、
「自分には権力があるのだから、誰かに何かを命じてもいい立場なのだ」
と思っている人ないし機関というのも現に存在します。
いずれにしても、そうしたイメージが無意識のうちに定着してしまっている結果として、日常生活で「願います」という表現を見かけると、
という違和感を感じてしまうのだと思います。
「願います」という表現は命令口調で失礼?
冒頭でも述べた通り、「願います」という表現は丁寧な表現ではあり、決して誰かに何かを命令するための表現ではありません。
「ご遠慮願います」といった表現についても、文法的にはなんら問題はなく、むしろ各所で推奨されている表現でもあります。
しかし、残念ながら「失礼」と感じる人も少なからず存在するようで、それはおそらく上で挙げたような理由に基づくものでしょう。
そのため、もし相手に失礼な印象を与えたくないのであれば、「お願いします」などの表現を使うことを推奨いたします。
言葉や表現の印象というのは時代によって変わっていくものですし、どんな人が使っているか?によっても変わってくるのだと思います。
これは私自身の経験ですが、過去に私に対して、割と誹謗中傷に近い、失礼なことを言ってきた人というのがいました。
しかし、その人は失礼なことを言ってきた一方で、
「○○願います」「○○ください」「お手数おかけしました」
といった丁寧な表現を連呼していました。
正直、こうしたある意味チグハグなことをされた私としては、
「自分の要求や欲望を円滑に通すために便利だから、一応どこかで覚えた丁寧な表現を使ってはいるけれど、相手に対する気遣いや思いやりとかは1ミリもないんだろうな」
と反射的に思ってしまいました。
最近はLINEやSNSなどで気軽に短いメッセージを送ることのできる時代になってきて、正直便利な世の中にはなってきました。
あまり長文を送るのに適さないツール・アプリも多く、また字数制限などにより、短い表現でポンポンとメッセージや言葉を送りつけるのが当たり前の日常となってきたと思います。
しかし、そうした状況でも、あくまで人間対人間のコミュニケーションであるということを忘れてはならず、手を抜いてはいけないところで、決して手を抜いてはいけないのだろうと思います。
少し話が逸れてしまいましたが、まとめると、立場や状況、使っている人によっては「失礼」と感じられることもあります。
そのためもし不安なら、もう少し別の丁寧な表現を使っていきましょう。
今回のまとめ
今回は「願います」という言葉・表現についてでした。
こうしたことに違和感を感じられる方というのは、それが正しいかはともかく、感覚が敏感で、言葉を丁寧に使われる方なのだろうと思います。
ご察しの通り、私自身も違和感を感じており、あまり言葉狩りのようなことをしたくはありませんが、おそらく今後この言葉を使うことはないでしょう。
当サイトは、「違和感を大切に」ということを隠れたテーマとしていますが、今後も違和感を忘れずに、こうした考察も定期的にしていければと思います。