私立公立を問わず、少なくない中学校で自転車通学が禁止されています。
中学生くらいであれば、誰もが問題なく自転車には乗れる年齢。
自宅から学校まで遠い人であれば、自転車通学をしたいと思うこともあるでしょう。
にもかかわらず、中学校で自転車通学が禁止されているのはなぜなのでしょうか?
今回の記事ではこの点について調査・考察してみました。
中学校で自転車通学が禁止されている理由は?
中学校で自転車通学が禁止されている理由は、もちろん学校や地域によってさまざまですが、大別すると以下の3点にまとめることができます。
禁止理由①:危険だから
よくある禁止理由の1つ目としては、危険だからというものです。
これは、交通事故などに巻き込まれる危険(被害者になる危険)はもちろん、自転車事故の加害者になる危険も含みます。
自転車事故を最も起こしやすいのは、実はデータ上は中高生であり、例えば高齢者などより明らかに多くなっています。
こうした事故から中学生を守るため、また責任問題に発展した場合のリスク回避から、中学校は自転車通学を禁止しているというのは1つあるでしょう。
また、通学路の道が狭く見通しも悪いなど、そもそも学校周辺の道路事情がかんばしくない。
さらに通学時、学校周辺の交通量が増えると諸々のトラブルが増える可能性もある。
こうした点も「危険」の要素として考慮される場合もあるでしょう。
以上のような危険は、まだ運転技術や判断力などが未熟な小学生にはより強く当てはまるため、小学校で自転車通学が禁止されているのはある意味当然といえるかもしれません。
禁止理由②:特に必要がないから
これは理由①と重複する面もありますが、特に自転車通学をする必要がないから、という理由も挙げられています。
例えば都会などで、中学校の学区が狭く、生徒全員が徒歩圏内で暮らしている。
また、学区はある程度広いものの、スクールバスが出ており、特に通学に支障がない。
このような場合、あえて自転車通学を認める必要がないため、自転車通学が禁止されているようです。
「認める必要がない」ということは、裏を返せばデフォルトでは禁止方向に傾いているということですが、これはやはり「危険だから」という①の理由が大きいのでしょう。
ただ、直線距離的には徒歩圏内であっても、実際の通学路によっては徒歩では結構大変という場合もあり、本音では自転車通学したいと思っている人も一定数いるようです。
禁止理由③:駐輪場がないから
これはそこまで大きな問題でもない気がしますが、一定以上の生徒が自転車通学を選択した場合、それをまかなえる駐輪場のスペースが中学校にあるとは限りません。
中学校の駐輪場が満車になった場合、近隣の土地や私的な駐輪場に自転車を放置される、という事態が生じる可能性もあります。
駐輪場の設置にはある程度の予算も必要となり、学校側としてもすぐに対応できるものではありません。
そうした理由から自転車通学が禁止されている場合もないとはいえないでしょう。
自転車通学を禁止することのデメリット
以上に対して、自転車通学を禁止することのデメリットについてもまとめておきました。
自転車通学を認めている中学校や市町村も一定数存在し、自転車通学については各地域や各学校の実情に応じた、不断の検討が必要になるところでしょう。
自転車通学の是非について考えるきっかけとするため、以下の内容もぜひ参考にしてみてください。
①通学に時間・労力がかかる
自転車通学が禁止され、学校に徒歩で通学する場合、例えば学区の端の方に住んでいる人などは通学に多大な時間・労力がかかります。
その結果として、学校の宿題や部活動などに支障が出たり、保護者が送り迎えをする場合には送り迎えの負担も生じます。
共働き世帯が増えた昨今、登下校時に必ずしも保護者が送り迎えできるとも限りません。
徒歩で楽々通える距離に住んでいる人ならいいですが、そうでない場合、自転車通学が認められていたほうが何かと便利という場合はあるでしょう。
②不審者対策上の点
不審者が中学生に目をつけるとすれば、やはり自転車より徒歩で登下校している中学生のほうを狙うでしょう。
自転車で走り去る中学生をあえて引き留めて、何かしようとする不審者がそこまでいるとは考えられません。
そうした不審者対策という点では自転車通学のほうが安全であり、裏を返せば徒歩のほうが危険ということになるでしょう。
もちろん、自転車通学には上で挙げたような危険があるので、そのあたりの天秤にはなりますが、徒歩にも徒歩なりの危険がある、ということです。
③自転車通学に慣れることができない
高校から自転車通学するという人は多く、また高校は中学校よりも距離が遠くなる場合が多いです。
そのため、自転車通学に慣れていないと、高校に入ってから突然自転車通学に切り替わり、長距離ということも相まって、その段階で事故を起こしてしまう、という危険がないこともありません。
そもそも、中学生でも塾や習い事、遊びに行く際は自転車を使用するのであり、事故のリスクは常に存在しています。
中学生の身の安全を守るという観点からいえば、自転車の使用を一律禁止にするのが一番ですが、なかなかそういうわけにもいきません。
そうすると、どこかで必ず線引きしなければならないわけですが、その線引きとして、中学校の自転車通学禁止が合理的かどうか、ということです。
このあたりは繰り返しとなりますが、さまざまな要素を考慮した上での不断の検討が必要になるところでしょう。
今回のまとめ
以上、中学校の自転車通学の禁止理由・デメリットなどについて書いてきました。
自転車通学を認めるべきかどうかは、上で挙げたようなさまざまな要素が関係してくるので、一概にはいえません。
また認める場合でも、例えばヘルメットの着用や定期的なメンテナンスの徹底、講習会への参加などは、ほぼ必須となるでしょう。
今回の内容が、中学生の自転車通学の是非について議論する上での何かの参考になれば幸いです。
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