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ポスターを剥がすと罪になる?選挙用とそれ以外のもので違いあり

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自宅の塀やよく目につく場所などにポスターが貼ってあると、ものによっては少々目障りで、つい剥がしてしまいたくなるのは人間の心理。

特にあまり好きではない政治家のポスターなどになってくると、この傾向は顕著かもしれません。

ただ、一見たかが「剥がす」行為に思えても、ものによっては罪に問われてしまう可能性もなくはありません。

今回の記事では、ポスターを剥がす行為が罪に問われる可能性について、また捨てたり破いたりする行為についても取り上げます。

ポスターを剥がすと罪になる?選挙用ポスターの場合

後述するように、ポスターを単に「剥がした」だけでは正直、大したことにはならないのですが、これが選挙用のポスターということになると話は全く変わってきます。

選挙というのは民主主義社会において極めて重要ですから、これを妨害する行為は、時として刑法上の器物損壊罪などより重い罪に問われます。

選挙に関しては公職選挙法という法律にいろいろな定めがありますが、その225条にはこう書かれています。

第225条
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁固又は百万円以下の罰金に処する。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。

この規定は一般に「自由妨害罪」と言われています。

選挙用ポスターはこの「文書図画」にあたりますので、ポスターを剥がし、破いたり捨てたりすれば「毀棄」したことになり、自由妨害罪に問われる可能性があります。

具体的には、例えば以下のような場所に貼られているポスターがこれにあたります。

選挙用ポスターを貼る掲示板

厳密に言えば、ポスターを単に「剥がした」だけであれば(破いたり捨てたりしていないのであれば)「毀棄」とはいえないのかもしれません。

ただ、この掲示板全体を「文書図画」と見れば、ポスターを剥がすことによってその効用を害していますので、結局自由妨害罪に問われることになりそうです。

また、「その他…不正の方法をもって選挙の自由を妨害した」ともいいうるでしょう。

実際、ポスターを剥がしたことで現行犯逮捕されたというニュースは稀に目にしますので、選挙用ポスターだけにはくれぐれも手を出さないのが賢明でしょう(もちろん落書きもダメです)。

※参考記事:都議選ポスター剥がす、公選法違反容疑で男逮捕

ちなみに、選挙用ポスターと単なる政治活動用のポスター(政党のポスターなど)は違います。

選挙用ポスターはあくまで選挙運動期間中に掲載されるものですので、それ以外のポスターは、仮に選挙で票をもらうためのアピールに使われていたとしても、公職選挙法で問題とされるような選挙用のポスターにはあたりません。

この点は誤解が多いところですので知っておいて損はありません。

それ以外のポスターは?

そうした政治活動用のものも含め、選挙用ポスターではない単なるポスターを剥がした場合は、どうなるのでしょうか?

この場合、剥がした後に破いたり捨てたりすれば、刑法上の器物損壊罪にあたることはイメージがつきやすいでしょう。

刑法261条
(前略)他人の物損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ポスターは当然「他人の物」にあたります。

なお「損壊」というと、破いたり切り刻んだりする行為が典型例ではありますが、その物を効用を害しているという点で落書きなどもこれにあたります。

ちなみに、「隠す」行為が「損壊」にあたるかは微妙ですが、あたるとする見解もあります。

また、盗んだらもちろん「窃盗罪」にあたります。

いずれにしてもポスターは他人の物ですので、剥がした後はちゃんと持ち主に返す方が賢明でしょう。

問題は単に剥がしただけで罪に問われる可能性があるのかということですが、これはよほどのことがない限りないでしょう。

例えばポスターが建造物などの装飾として機能していて、それを大量に剥がしたとかであれば建造物損壊罪に問われる可能性もなくはないのでしょうが、例えば前述の政治活動用のポスターを一枚剥がしたくらいでは、何かの罪に問われることはまず考えられません。

特に、自分の住居などの所有物に勝手にポスターが貼り付けられていた場合、この貼り付ける行為自体が逆に軽犯罪にあたる可能性がありますので、剥がしてしまって問題ないでしょう。

軽犯罪法33条
みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし…(以下略)

一方、他人の所有物に貼られていたり、自分の所有物でも持ち主の承諾の上で貼られていたような場合には、勝手に剥がすことはもちろん問題にはなりえますが、ただ前述のとおり、刑法上の罪に問われるほどの違法性はまずないと考えられます。

まとめ:選挙用のポスターには注意

ポスターを剥がしたり破いたり、落書きしたりする行為は刑法上の器物損壊罪にあたる可能性はありますが、器物損壊罪は犯罪の中でも違法性が軽微な方であり、被害者等の告訴がないと公訴提起できない「親告罪」とされています(刑法264条)。

そのため、仮に犯罪に該当したからといって、よほど悪質なものでない限り、例えば一般の人がイメージするような、逮捕されて、起訴されて、裁判が行われて、有罪判決が下されて…ということには通常なりません。

ただ選挙用のポスターだけは例外です。

選挙は社会的なものになりますので、個人間のトラブルとは訳が違います。

選挙用ポスターを剥がしたことで現行犯逮捕された例もありますから、選挙用ポスターだけは絶対に剥がさないようにしましょう。

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